糖質制限ダイエット(低炭水化物ダイエット)またはローカーボダイエット
を一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか
これから糖質制限ダイエットで痩せようとしている人や
炭水化物を極力減らして痩せようと考えている方に向けて
糖質制限ダイエットのメリットとデメリットを解説してきたいと思います
そもそも糖質って何?
糖質は炭水化物のことで食物繊維を除いたものを言います
糖質=炭水化物ー食物繊維
主にご飯やパン、めんなど主食となるものには糖質がたくさん入っています
ケーキやお菓子などの甘い物も糖質に入ります
食物繊維は糖質に入らないのか!
じゃあ糖質制限ダイエットは食物繊維の多いものを選べば良さそうだね
炭水化物は英語でCarbohydrates(カーボハイドレイト)と言い
低糖質という言葉からローカーボ(ロカボ)とも言われています
糖質の最小単位は単糖、2~10個結合した糖をオリゴ糖、それ以上を多糖類と言います
低分子のものは甘味があり高分子のものは甘味を呈しません
単糖類 | 五炭糖 | リボース、キシロース、アラピノース、 |
単糖類 | 六炭糖 | グルコース、ガラクトース、マンノース、 フルクトース |
オリゴ糖 (2~10個) | 二糖類 | スクロース(ショ糖) マルトース(麦芽糖) ラクトース(乳糖) トレハロース |
オリゴ糖 (2~10個) | 三糖類 | ラフィノース |
オリゴ糖 (2~10個) | 四糖類 | スタキオース |
多糖類 | 単純多糖類 | でんぷん、グリコーゲン、 セルロース、イヌリン |
多糖類 | 複合多糖類 | アガロース、ペクチン、アルギン酸、 マンナン、カラギーナン |
ごはんをよく噛んで食べるとごはんのでんぷんが唾液の消化酵素で分解されることは学校で習った様な・・・・
だ液の消化酵素がデンプンの単糖同士のつながりを切る働きがあるため
ご飯をよく噛んで食べると甘くなるのはデンプンが低分子に分解されているからだね!
糖質の体の中での働き
糖質は体の中でエネルギー源になる栄養素です
車に例えるとガソリンと同じ働きをします
車はガソリンが無いと走れませんね
人も糖質(ブドウ糖)がなければ生命を維持することができません
食事をした後糖質は分解され体内でブドウ糖に変わります
ブドウ糖は血液へ流れ込み体のエネルギーの源になります
エネルギーによって私たちの体は体温を一定に保ったり、筋肉を動かしたり
心臓を動かしたり脳や臓器を動かしたりします
元気が無い時、病弱の時には病院で点滴をしてもらいます
その点滴の成分もブドウ糖と多少の電解質で成り立っていて体の働きを維持させています
ブドウ糖はいざという時に備えてグリコーゲンという大きな分子として肝臓に蓄えられ
エネルギーが不足しているときは肝臓からグリコーゲンが分解されエネルギーに変える働きをします
エネルギーは糖質からだけでなくたんぱく質や脂質からもエネルギーの材料に変えることができるため
体内に糖質を取り入れなくてもエネルギーに変えることができる仕組みを持っています
脳は唯一ブドウ糖しか使うことが出来ないためブドウ糖は生命維持や脳の活動を高めるための必要な栄養素になります
疲れると頭が働かなくなるのは脳にブドウ糖が行き渡ってないせいなのか!
- 糖質はブドウ糖に分解され体の中でエネルギーとして働く
- ブドウ糖は肝臓でグリコーゲンとして蓄えられエネルギーが足りない時分解される
- 糖質・たんぱく質・脂質からもエネルギーに変えることができる
- 脳はブドウ糖しか利用できない
糖質を摂ると体はどうなるのか?
体と脳を動かす糖質ですが
糖質を摂取すると体の中ではどんな働きが起こるのでしょうか
糖質摂取によるインスリンの働き
インスリンは血糖値を下げるホルモンです
①ごはんを食べると→胃で分解され→小腸で吸収されます
②小腸から血液中に分解されたブドウ糖が移動していき→膵臓からインスリン出てブドウ糖を減らします
インスリンにより減らされたブドウ糖は肝臓・筋肉・脂肪細胞へ移りグリコーゲンとして蓄えられます
エネルギーとして利用されなかった余分な糖質は肝臓や筋肉へ蓄えられることは良しとして
脂肪細胞にまで蓄えが出来てしまうこということは
脂肪として蓄えられてしまうという訳です
糖質を制限するとどうなるのか?
糖質を摂取するとエネルギーとして体を動かすことに使われるのと同時に
インスリンが出て脂肪細胞に蓄えられてしまう事が分かりました
糖質制限するとインスリンの働きが抑えられ
脂肪細胞に蓄えられるのを阻止することで
糖質や脂肪が蓄えに回らずに体内でエネルギー源として効率良く働かせる事が
糖質制限の仕組みとなっています
糖質を抑えることは脂肪をエネルギー源として分解させようという働きになり
脂肪が燃焼されていくことになります
糖質を摂らなくてもたんぱく質や脂肪からもエネルギーが作られるんだったよね!
だから脂肪を分解させるには糖質を抑えるという訳か!
脳はブドウ糖しか使われないけどどうなのかな?
脳はブドウ糖しか利用できないと説明しました
糖質を制限すると脳へエネルギーが行かないのでは?と思う方もいると思います
人の体は脂肪を分解した際に出るケトン体やアミノ酸などを肝臓でブドウ糖に作り替えるシステムを持っています(糖新生)
そのため糖質を摂らなくても脂肪のケトン体やたんぱく質のアミノ酸が分解されることによりブドウ糖へ分解することができ脳へエネルギーを送リ出すことが出来るのです
- 糖質を分解するインスリンは余ったエネルギーを脂肪に変えてしまう
- 糖質を少なくしインスリン分泌を少なくする
- 糖質を抑えると代わりに脂肪やたんぱく質が分解されエネルギーに変わる
糖質を摂り過ぎてしまうとどうなるのか?
糖質を摂り過ぎてしまうとエネルギー源として消費できず
脂肪に変わってしまうため糖質の摂り過ぎは良くないと言われています
肥満の人は常にインスリンが出ている状態になっているため
血中インスリン濃度が高い状態になり脂肪を蓄えてしまった結果
太りやすく痩せにくい体質になってしまうという訳です(インスリン抵抗性)
糖質はどのくらいとればいいの?
糖質(炭水化物)・脂質・たんぱく質のエネルギーに対する割合を示したものをPFCバランスと言います
P(Protein)はたんぱく質、F(Fat)脂質は、C(carbohydrates)炭水化物の略です
一般的なPFCバランス、糖質制限、脂質制限を比べてみました
一般的には糖質50~65%、脂質20~30%、たんぱく質13~20%のバランスが理想的です
糖質は全体のおよそ6割をエネルギーとして摂ることが理想です
糖質制限では糖質が2割、脂質を5割、たんぱく質を3割程度になります
脂質制限では糖質が6割、脂質を2割、たんぱく質を2割程度になります
- 糖質、脂質、たんぱく質の全体のエネルギー比率をPFCバランスと言う
- 一般的な栄養バランスはPFC比がP:F:C=13~20:20~30:50~65である
- 一般的な糖質はエネルギーから6割摂取だが糖質制限になると2割程度になる
糖質制限といっても必ず糖質がエネルギーの2割程度にならなければならない訳ではありません
一般的な6割以下であれば糖質制限といって良いでしょう
糖質制限の過去の研究結果
- 2003年~2005年のアメリカの研究によると糖質制限を6ヶ月行った結果-5~6kgの体重減少が見られたが無気力や頭が働かなくなったなどの副作用の報告も確認された
- 低脂質食よりも低糖質食の法が初めの6ヶ月は目に見えて体重減少があったがその後ほぼ同じ体重になり2年後には逆転した*1
- 6ヶ月から1年後の長期的な減量効果はほぼ無かったとの報告*2もある
- 2013年の米国糖尿病学会によると糖質制限食の血糖改善効果、肥満解消効果を認めている
- 低糖質食では死亡リスクが高く心臓の血管の病気になりやすい報告もある
つまり、糖質制限は短期的に効果はあるが様々なリスクも伴う可能性があります
*1 2020 食べても太らず免疫力がつく食事法 石黒成治
*2 2019,8,Newton別冊食と栄養の大百科専門家が教える科学的に正しい知識
糖質制限のメリット
- 主食やおやつなどの糖質を多く含む食品の摂取を減らしたんぱく質や脂質多めの食事に変えるだけなのでだれでも簡単に日常で取り入れる事が出来る
- 短期的に痩せやすい
- 運動なしでも食事でエネルギーを消費できる
- 脂肪やたんぱく質は摂って良いため食事にストレスがあまりかからない
- 糖質オフや低糖質商品が売られているためそれらを上手く活用すれば食事のストレスがあまりかからない
糖質制限のデメリット
- 長期的に取り組むことへの体への影響が心配
- 疾病を持つ人には医師の診断が必要になるため安易に糖質制限を行ってはいけない
- リバウンドしやすい
- 糖質の代わりに中性脂肪が分解されるため脂肪酸が体内で増加し心臓に蓄積し心臓機能に影響出ることがある
- 成長期の子どもや妊娠中・妊娠を望む女性、低栄養の人を対象とする実証がないため安易に行わない方が良い
- 糖質が少ないため便秘になりやすい